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大阪地方裁判所 昭和58年(ワ)1452号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二そこで抗弁について判断する。

1 抗弁1・3の事実については当事者間に争いがない。

2 ところで、本件入会契約の内容を構成している本件会則七条によれば、「入会金は会社(被告)が無利息・無配当にて預り正式開場後五ケ年間据置き、その後退会等の場合は請求により返還する。」旨規定しているが、一方、同条但し書には「天災・地変その他不可抗力の事態が発生した場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる。」旨の規定があることは右争いがない事実にみたとおりである。

右但し書の規定は一方の契約当事者である被告の意思のみで他方の契約当事者の権利を制限することができる旨の規定であるから、直ちに右規定が無効といえないとしても、それは厳格に解釈されなければならない。

したがつて、右但し書にいう「その他不可抗力の事態」とはその前後に例示する「天災・地変」に類するものであることを要し、経済変動等によるゴルフ業界の不況等の事態は含まれないものと解すべきである。

3 そこで、本件クラブにつき本件会則七条但し書の規定に該当する事態が発生したか否かについて判断する。

<証拠>によれば、本件会則改正を必要とするに至つた原因は、ゴルフ業界が慢性的不況にあり被告が予想された収益を上げていないこと、会則にいう五年の据置期間が経過するに及んで一二〇〇件以上にものぼる入会金の返還請求があつたのでこれらの全ての会員に対し入会金を返還した場合には被告会社の存立自体危ぶまれる状況にあつたことであることを認めることができ、右認定に反する証拠はない。

しかしながら、右経済的不況により被告が予想された収益を上げることができなかつたことは本件会則七条但し書にいう「不可抗力の事態」ということができないことは前述のとおりである。また、多数の会員から入会金の返還請求がなされることは会員の当然の権利の行使であり入会契約の当初から当然予想すべき事態であるから、これも本件会則七条但し書にいう「不可抗力の事態」ということができないことは明らかである(会員からの一斉の入会金の返還請求という事態は据置期間を延長してもなお発生が予想される事態であり、これを「不可抗力の事態」と解すれば被告において半永久的に入会金の返還を拒否することも可能である。)。

4 よつて、本件クラブ理事会がなした前記本件会則を改正する旨の決議は原告ら会員に関する関係で無効であり、原告を拘束するものではないというべきである。

よつて、被告の抗弁は理由がない。<以下、省略> (田中清)

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